月曜日: ゲームシステム紹介 #1

まず、町田松三氏がサイコシギルについて徹底的に解説し、そしてそれがキャラからキャラへとどう変化するのかを教えてくれます!

サイコシギル、それは魂の姿を具現化した紋章

サイコシギルを使ったスリルのある戦闘は PENNY BLOOD のバトルシステムの目玉のひとつです。では、そのサイコシギルについて解説します。

元々の発想は「目に見えない魂というものを絵に描いてみたらどんなだろう?」という事からスタートしました。ただ丸いだけの絵ではないので、家系や性格、トラウマなんかをグラフィカルに表すことができて、しかも、物語の進行と共に変化させることもできる。各キャラクターの個性を演出するにはもってこいだと考えました。

PENNY BLOOD のキャラに当てはめると、マシューなら騎士の紋章、エミリアなら機械仕掛けのハートの紋章、といった具合に、それぞれの精神性に帰属した絵柄になります。これを新しい目押しのシステムを載せるためのモチーフにすればしっくりくるかなと考え、それはうまく行きました。

仕様の話をすると、紋章の中にはヒットエリアと呼ばれる光点がいくつか出現するので、次々と光点を結びながら移動する光の到達に合わせてタイミングよくボタンを押します。

サイコシギルはバトルやイベントの成否を決める重要な遊びの要素になっていて、プレイヤーは目押しの技術を求められます。それは決して難しくはありませんが、ヒットエリアの中心部にあるストライクエリアを狙うのであれば鍛錬が必要になるでしょう。

先に記したとおりサイコシギルはキャラクターごとにデザインが違うため、目押しのタイミングを知らせる光点の位置や数にも差があります。プレイヤーによっては、入力しやすいキャラ、イコール扱いやすいキャラが違ってくるかもしれません。しかし、心配無用です。ゲームが進んで行けば「シギルの魂」という精霊が現れ、彼とコミュニケーションを重ねて行くことでヒットエリアが増えるアイテムを獲得できます。

サイコシギルをベースにしたバトルですが、まだまだ面白いシステムは目白押しです。

そのいくつかを紹介しましょう。

・一撃で敵を葬る

攻撃アクション時のサイコシギルの入力でパーフェクトを出すと、ザコ敵を一撃死させることができます。

極めて難しい入力が完成されたご褒美というか、その技術に敬意を表して入れ込んだシステムです。この演出がなかなかグロテスクで過激なんですが、えも言われぬ爽快感があるので、ぜひ何度もチャレンジして欲しいです。本編ではこの方法でしか倒せないモンスターも出そうと考えています。

・連携攻撃

連携攻撃とは文字通り複数のキャラクターが同時に標的へ襲いかかる攻撃です。以前作ったゲームでも連携攻撃はあったんですが、一人の行動が終わって次の一人が行動する。という感じで、二人同時に動くわけではありませんでした。今回はそこに挑戦しています。しかも、ただ通常攻撃のモーションをそれぞれが繰り出すわけではなくて、連携攻撃だからこそ発動する特別なアクションを用意しています。

その発動条件はキャラクター同士の相性度やコンディションにも左右されますが、もっとも重要なのは「偶然性」です。はじめて遊ぶ格闘ゲームでめちゃくちゃにボタンを押してたら偶然すごい技が出た! そんな、発見する喜びを入れています。勿論、一度発見すればボタンを入力する法則はわかるので、以後は難易度に差はあるもののプレイヤーの意志で連携攻撃を行えるようになります。

個性豊かなキャラたちに隠された連携技を見つけるのも PENNY BLOOD のバトルシステムの醍醐味です。

次に、PENNY BLOODのトンプソンレポートをお見せできることをうれしく思います。特定のストレッチゴールに光を当てる、キャラ同士の深く掘り下げたインタビューです。でもまずは、レポーターであるドロシー・トンプソンを紹介させてください。

★ドロシー・トンプソン

Dorothy Celene Thompson
1893年7月9日– 1961年1月30日
アメリカのジャーナリスト兼ラジオパーソナリティ。

アメリカで女性参政権のために働いた後、彼女はジャーナリズムの キャリアを追求するため 1920年にヨーロッパへ渡ります。そして、海 外でも成功をおさめフィラデルフィアのパブリックレジャー紙のウィー ン特派員に任命されました。1923年当時は30歳。のちにナチスドイツから追放された最初のアメリカ人ジャーナリストとなります。

「マシュー、おまえはどんな強敵とも渡り合うためにフュージョンモンスターへ変身する必要がある……。そうだ、怪物を倒すには怪物になるしかないんだ。いま、その力をおまえに授けてやる。それが……、父さんがおまえにしてやれる、ただひとつの……ことだからな……」

★トンプソン・レポート

File No.01 『敵を引き裂くフュージョンモンスターの登場』

 初めましてマシュー。どうぞ、座って。

 あんたが有名なドロシー・トンプソンか。俺みたいな田舎者の探偵があんたのインタビューを受ける日が来るなんて夢にも思わなかった。

 そんなことないわ、あなたこそ有名人よ。その道の人たちの間では。前からぜひ聞いてみたかったの、この文明社会が発達した時代にあって人知れず怪物退治をしている専門家の話をね。とくに興味があるのはフュージョンモンスター。いまこうして向き合っているあなたの、もうひとつの姿についてよ。

 ……時として、この世のものではない化け物と対峙したとき。銃やナイフが役に立たないこともしばしばある。一瞬のかけひきをしくじれば絶体絶命の危機に陥ってしまう。

 死の覚悟を?

 ああ、最初の頃はね。でも今はそうじゃない。どちらかと言えば、わくわくして気分が昂揚する。

 恐怖は感じずに戦いを楽しんでるってこと?

 かもな。死ぬか生きるかの境界線にいるのが、すごく興奮する。心の奥にある闇を解放すれば、それは騎士の姿になって俺を包み込む。

 その騎士がフュージョンモンスター?

 そう。

 二十世紀に騎士だなんて、意外とロマンチックね。

 フフ、亡者の騎士だよ。白馬に乗った美しい騎士じゃない。それに、変身した後は思うぞんぶん化け物どもを八つ裂きにする悪魔だ。とくに一撃で仕留めたときは最高さ。

 

 マシュー、あなたはたしか先の大戦で従軍経験があるのよね?

 うん。出征したのは17年の春だ。むこうに着いてからは西部戦線を転戦し、ベローウッドの戦いの後、セダンまで残り3マイルの場所で終戦をむかえた。

 あなたの持つ力を引き出したのは、戦争が切っ掛け?

 違う。この力は父から受け継いだものだ。誰にでもあるだろう? 心の闇ってやつ。親父はその闇の中に棲んでる魔物の力を自分の力として使うことができた。それを、俺も手に入れた。

 怪物にも負けない力は、お父様からの贈り物と言うわけね。

 これはギフトなんかじゃない。呪いさ。デムナになった俺も、みんなから見たら化け物の一人だ。

 少し怖いけどますます興味が沸いてきたわ。私もいつか会えるからしら、あなたの心に棲んでいるデムナに。

 どうかな。会いたいと思ってもらうのは光栄だけど、あまりお勧めはしない。フュージョンモンスターが現れるのは、いつだって血なまぐさい戦場だからね。